小学1年生といえば、小さな身体に大きなランドセルとしょった、かわいらしい姿が目に浮かぶでしょうか。
実はその小学1年生に、交通事故が突出して多いことをご存知ですか?
その理由には、その年齢特有の発達段階が大きく影響していました。その発達段階をふまえて、ある訓練をしておくことが、本人や保護者にも大切であることがわかっています。
小学1年生がどのような事故に遭うのか、また、発達段階がどう影響しているのか、そして、どのような訓練をしておくことで、事故を回避できるのか、一緒に確認していきましょう。
どのような事故に遭っている?
小学1年生に際立って多い、歩行中の交通事故の死傷者
歩行中に事故で死傷した小学1年生
2011年〜2015年
8994人(死者30人)男児6097人、女児2847人
男の子が2倍をこえています。
事故原因は
飛び出し 37%
横断違反 16% (横断歩道が近いのに違う場所から渡ってしまったなど)
運転者側の信号無視や、前方不注意などの違反 39%(歩行者に違反なし)
通行の目的
登下校中に多く、ついで遊戯中が続いています。
時間帯
登下校の7時代が多く、13時から18時が山なりに増え、15時が一番多い時間帯となりました。
自宅からの距離
50メートル以内 17%
100メートル以内 15%
500メートル以内 32%
1キロメートル以内 19%
2キロメートル以内 8%
2キロメートル超 8%
この数字をみてわかるように、通学路での、比較的自宅の近くで事故に遭っていることがわかります。この数字も、小学6年生になると、1年生の4分の1になります。しかし、小学1年生では突出して多いのはなぜなんでしょうか。
小学1年生の発達による特性と事故とのかかわり
興味のある物に集中してしまう「衝動的行動」に注意
興味のあることに集中してしまい、大人にとっては思いがけない動きをする傾向があります。8歳位まではこの動きが特に強いので注意が必要です。
青信号になってそのまま突っ切る
青信号になった途端に、左右を見ずに突っ切ろうとする子もいます。信号を渡ることに夢中になってしまうようです。
友達とふざけていて
小学1年生になり、学校にも慣れてきた頃、帰り道の信号待ちで、友達とふざけて押し合い、車道に出てしまうという子もいます。車道の少ない道で、遊歩道からあふれて歩く子どももいます。
潜在的危険を察知する能力が低い
3年生より上の学年になってくると、そういった力もついてくるようですが、物陰から出てくるものに注意をしたり、見通しの悪い交差点から車がでて来ないかなどの、潜在的危険を察知する能力は低いため、注意が必要です。
就学前から、通学路を歩いておこう
大人と子どもでは見え方が違う
子どもの身長では、植え込みや、看板が邪魔になり、見えない場所もあるので、子ども目線で通学路を確認し、そのような場所に横断歩道があれば、背を伸ばして、車や自転車がこないか確認することを教えましょう。
時間帯によって、自転車や車の交通量も変化する
子どもの実際の通学時間帯に歩いてみましょう。もしかすると、思っていたより、自転車や車の交通量が多かったということがあるかもしれません。その時も、どういう風にその道を歩くのが安全か、教えることができますね。
ワークショップに参加する
未就学児から参加できる、子どもが街を歩くための大人や子どもが注意すべきことを教えてくれるワークショップも存在します。自宅近くで開いていれば参加するのもいいですね。
おわりに
小学1年生に、交通事故が突出して多い理由は、慣れない登下校に加えて、注意力がまだひとつのことに向かってしまうことと、潜在的に潜む危険を察知する力が低いことにありましたね。
具体的な体験をもとに、危険を避ける力を身につけることが大切です。就学前から通学路を一緒に歩く経験を積んで、事故に遭わないように準備して行きたいですね。
参考引用文献 「小さないのち」を守る 事故、虐待、いじめ…..証言から学ぶ予防と対策 著・朝日新聞取材班 朝日新聞出版
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